夏の暑さが本格的になる頃、今年最後の農業体験受け入れがあった。
今回は初めて東京都心の私立中学校2年生。
4人の男の子は、とてもにこやかな笑顔で我が家へやってきた。
さすがに私立の中学校へ行く子供たちは、ここへ来るにあたりなのか、もともとの学習量の違いなのか、この辺りの地形に関する知識(山の名前や独立峰が立つ事など)や、一茶のことについてもきちんと情報を持っていた。
それでも…
KAZU「一茶の句を言ってみよ〜」の問いに…
中学生「かえるの子そこのけそこのけお馬が通る!」
KAZU「ん?なんか混ざってない…」
YOSHI「すずめやろ〜」
中学生「あっ、やせがえる負けるな一茶これにあり…だ!」
などと、かわいい一面も見せてくれる。
そして彼らの働きっぷりは…

狸がトウモロコシを採りに来る習性や、その知恵などを説明し、どう対処するかを学ぶ。
しっかりと差し込んだ支柱にネットをくくりつける。
さすがに4人いれば、あっという間に済んでしまう。
そして、午後からの作業の説明をし、畑の中を一回り。
途中、ミニトマトをつまみ食い。
お昼ご飯は、この畑で採れたズッキーニをたっぷり使ってパスタにした。
昼休みを終えて、午後の一番暑い時間を避け、2時から出動。

ワサワサとこの暑さに生えてくる雑草を、丁寧に引き抜いていく。
この作業も4人いるとめちゃくちゃ早い!
そして、彼らの凄いところは…
一人が遊び始めると、他の中から「ちゃんとやれよ〜」と、修正の声が掛かる事。
この年頃の子供達は、一人が遊び始めてしまうと、つられてみんな…と、なりがちなのだが、そこは真面目な彼らの持ち味なのだろう。
そしていよいよ収穫作業。

これがまた厄介な事に、見つけづらい。
目の前にあってもなかなか発見できなかったりする。
無農薬で育てている我が畑では、豆にはもちろん虫さんがたくさんいる。
KAZU「ほら、こういうのがいたら取ってね!」と頼むと…
中学生「いや〜それは…」
こういうところは都会っ子だね。

これは、夕食の材料となりみんなに食べてもらった。


インゲン採り。
こちらもなかなか見つけられない。
見落とすものも多く、畝の周りをぐるぐると何周も回っていた。
それでも、黄色の方が目に付く「黄莢黒三度豆」を誇らしげに手にする子供たち。

大きな葉っぱで顔が隠れるほど…
こうして、1日畑で過ごす事ができた。
彼らにとって、緑の大地はどのように映ったのであろう。
夕食には、自分たちが採って来た野菜たちをふんだんに使って料理をした。
成っている姿を知って、それを食する…
都会の子供たちには、それが一番新鮮かもしれない。
夕食は、もちろんゲームに興じるのがアルマナック流。
しかし、今回は少し勝手が違った。
日頃、切磋琢磨して勉学に励んでいるのであろう彼らは、そのお互いの感性や特性を良く理解している。
ゲームをしていても、これはこの子が強い…とか、これなら勝てる!とかしっかりとした目標と楽しみ方を知っていた。
ゲームの内容を説明すると、勝機の確率を計算する子もいた。
さすがである。
眠くなるまで、かなりの数のゲームをこなし、昼の疲れもあったのだろうバタンキューと、眠ってしまった。
翌朝、眠い目をこすりつつ起きてきた彼らに、朝食をしっかり食べさせて、早々に離村式へ…
今回の林間学習は割合ハードスケジュール。
この後も林業体験があるという。
我が家にやってきていた一人が、入村式・離村式ともに挨拶を行っていた。
その離村式のスピーチがまた素晴らしかったらしい。
ここで吸収した新しい事をふんだんに盛り込み、さらりと語っていたという。
ほんの少しだったが、自分たちで収穫し野菜を家族へのお土産として持ち帰った。
ちゃんと説明できただろうか…
成っている姿、収穫の苦労…
あの笑顔が、家族の元へも届いてくれていたなら、黒姫高原の優しい風も一緒に感じてもらえると信じている。
彼らが大人になったいつの日か、緑の高原を懐かしく思い出してもらえることがあったなら、私達もちょっと嬉しい。(^^)